本日は、ニンテンドースイッチの有機ELモデルの修理のご依頼を頂きました。
修理のご依頼を頂いたニンテンドースイッチは電源ボタンを押すと、電源が入って直ぐに画面の表示全体が青色になってしまう「ブルースクリーン」の状態でした。
このような症状になった時の対処方法が任天堂の公式サイトに載っています。
その方法は「電源ボタンを12秒以上押し続けて、Switch本体の電源をいったんOFFにしてください。その後、あらためて電源をONして、改善しているかご確認ください。」
しかし、この操作をしても改善されないときはCPU基板の故障が原因になります。
ちなみにニンテンドースイッチでブルースクリーンのエラーはCPUとメモリーの通信で何らかのエラーが発生した時におこります。
ブルースクリーになる原因は?
なぜCPUとメモリーの通信でエラーが発生してしまうのかと言いますと、以下のような原理でおきます。
※図1
図1の様にCPUとメモリーが基板上で直接接続されています。
そして、この「CPUとメモリーの間の回路」に異常が発生するとメモリーエラーでブルースクリーンなります。
※図2
図2は基板を横から見た断面図になります。
図2の様に基板の上に表面実装され基板とCPUやメモリはハンダで溶接されています。
※図3
表面実装されたCPUやメモリーがスイッチ本体を落としたり、踏んづけてしまったりすると、スイッチ本体が曲がったり反ったりしてCPU基板に歪みが生じてハンダクラック(ハンダ割れ)が発生してしまいます。
このハンダクラックはCPUとメモリーが大きいチップになっているため、CPUとメモリーでハンダ割れがおこりやすくなっています。
ハンダクラックが起こるとCPUとメモリー間で接触不良が起きて通信が出来ずエラーが発生してブルースクリーンになると言うのが原因です。
ちなみに、あまりお勧め出来ることではないのですが、スイッチ本体の背面でCPUがあるあたりを押したり、スイッチ本体をねじ様に力を加えると一時的に復旧することがありますが、これはクラックした部分が力を加えたことにより一時的に接触が良くなることで起動できるようになります。
ブルースクリーンの修理
では早速修理をしていきます。
まずは、本体の裏蓋を外すとこんな感じで鉄板が見えます。
覆っている鉄板を外すと基板やバッテリーが見えてきます。
スイッチ本体からCPU基板を外すとこんな感じになっています。
上の写真が有機ELモデルのCPU基板になります。
CPU基板の中央よりやや左側にある大きな銀色のカバーの下にCPUとメモリーが隠れています。
カバーを外したところです。
左側がCPUで右側の2つがメモリーになります。
CPUとメモリーの間にあるうねうねと曲がった線がCPUとメモリーを接続している回路になります。
この部分の何処かで接触不良が起きてブルースクリーンになっています。
Switchの基板の修理
CPUとメモリーのどちらでハンダクラックが起きているのかは、見た目ではわかりません。そのため、先ずはCPU側から作業をして復旧しなければメモリーの作業をするという順序で修理をしていきます。
基板に高熱の熱風を当てるのでCPU以外の部分に影響が出ない様に耐熱テープとアルミテープでCPUの周りを養生をします。
ヒートガンで400度近い高温にしてクラックしているハンダを溶かして再度ハンダを溶接します。この作業をリフローといいます。
しばらくCPU基板を冷まして本体に取り付けて起動確認をします。
電源ボタンを押して、無事に起動することが出来ました。
今回はCPU側でクラックが発生していたと思われます。
お客様のデータがありますのでホーム画面をお見せすることは出来ませんが、セーブデータもそのまま、残った状態で復旧出来ました。
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